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八丈島青ヶ島渡航2日目:青ヶ島上陸

翌朝(1月31日)は東京から持ってきたパンで朝食を済ませ、八丈島空港へ向かいました。今日はいよいよ日本最少人口の村、青ヶ島に渡ります。

青ヶ島へ渡るには船(あおがしま丸)とヘリコプター(東京愛らんどシャトル)の2つの方法があります。所要時間はそれぞれ約3時間、約20分ですが、運賃はそれぞれ約2500円、1万円強です。それぞれ波風、視界不良に弱く、概ねヘリの就航率の方が高いのですが6月頃は逆転します。冬場は船の就航率が50%を切ることもある一方でヘリは例年95%程度の就航率を保つため今回は思い切って往復ヘリとしました。

昨日購入した「バスパ」が2日間有効なのでバスで行こうと思いましたが、バス停での立ち位置が悪かったのか無視されたため歩いて向かいました。だいたい40分くらいで空港に到着しました。

これから乗り込む青ヶ島行のヘリは定員9人で、すぐに予約が埋まってしまうことで知られていますが1月2日に予約した時点ではこの日だけ席に余裕があるようでした。搭乗手続きが始まったので並んでいると、青ヶ島の建設会社の方に声を掛けられ、船が欠航続きで運べないのでワイヤーを手荷物に入れてほしいと頼まれました。たまにこういうことがあり、航空会社も承知しているようです。

搭乗手続きでは体重を自己申告し、全手荷物の計量があります。ここで5kgを超えると追加料金を取られますが、ほぼ全員超過するようです。僕も旅行中の作業を諦めパソコン類は置いてきたもののワイヤー分除き2kg超過でした。ヘリ内部は狭いのでハンドバッグ等を除いて手荷物を受託する必要があります。

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通常の空港保安検査を抜け、歩いてヘリに乗り込みます。ヘリ内は自由席で、窓側席は4人分ありました。その後ヘリは滑走路まで自走し直上に飛び立ちました。ヘリ内では扉が閉まってから上昇が完了するまで全電子機器の電源を切ることが求められ、素人には上昇官僚のタイミングが分からないためその様子を記録するのは困難です。写ルンですなどを持ち込めば静止画は撮れると思います。

ヘリはあっという間に青ヶ島ヘリポートに着陸しました。降り立つとヘリのプロペラによって暴風が吹いています。ヘリポートにはコンクリートの小屋があるのみで、受託手荷物の引き渡しは外で行われました。時刻表ではヘリの青ヶ島滞留時間は5分で、慌ただしく八丈島へ向かう旅客を乗せて飛び立っていきました。ヘリの姿が小さくなるにつれて、島は静寂に包まれました。この時八丈島へ向かった人の中に西洋人観光客の家族がいました。よくこの島を知ったものだと思いましたが、最大手の旅行会社には日本に相当精通した人もいるでしょうから絶対無理な話でもないのでしょう。

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さて今回お世話になる民宿へ向かったところ、誰もいないようでした。この日は曇時々雨予報でしたが、とりあえず天気が良かったので先に島の最高峰で眺望を楽しむことにしました。

青ヶ島最高地点の大凸部は標高423mですが、集落も標高300m弱の台地上にあるため20分程度歩けば行くことができます。登山道の状況もまずまずで、特に装備などなくても問題なさそうでした。この大凸部と尾山展望公園から島の最大の特徴である二重カルデラを望めます。

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星空と火山の島ということで

その後宿に荷物を置き、集落周辺を回りました。

まずは島内唯一の商店、十一屋酒店さんです。食品に限らず生活必需品が揃っておりお土産も買えます。船は欠航続きでしたが、目立って欠品しているものは特にありませんでした。絶海の孤島あるあるですが、冷凍品と長期保存パンの品揃えは充実していました。島内宿泊者は多くの場合宿で昼食を用意してもらうようですが、今回の宿は昼食がなかったため僕がパンやカップラーメンなど買うと不思議そうな顔をされました。

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次に小中学校の前を通りましたが、細部の写真など撮るわけにもいかないので学校前の信号機の写真です。どう考えても信号が必要な交通量ではありませんが、子どもたちに信号の概念を教える狙いもあるのでしょう。後でこの学校の先生に聞いた話ですが、現在の全校生徒は10人で、半数ほどは赴任してきた先生のお子さんだそうです。中学卒業後は八丈高校への進学者もいますが、多くは東京本土への進学とのことでした。学校は新しく綺麗な建物に見えました。

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学校の隣に公共施設群があります。役場もここにあり、村役場としては普通の規模に見えます。いくら人口が少なくても自治体として独立している以上は一定数の職員が必要なため、村民の公務員率はかなり高いものと思われます。

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このあたりで雨が降ってきました。島の天気は非常に変わりやすく、素人には風向き側の雲の様子を見て短期的な予測をしながら動くほかありません。雨が降り出してもすぐに止むことが多く、天気の子ごっこには最適な場所だと思います。この日の雨はいずれも小雨程度だったので、散策を続行しました。

集落からは10分ほど歩きますが、名主屋敷跡です。球状の石垣は八丈島にも見られる特徴的なものです。道路から少し下った場所にあり、獣道が一応ありますがそれなりに足元が悪いので特に夏場は注意すべきかと思います。

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次は尾山展望公園へ向かいます。取水場の脇を通りますが、道なりに歩くと取水場の管理通路に入ってしまうので標識に注意して進みます。上り坂の分岐から15分ほどで展望公園に着きます。

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集落方向を見ると、斜面が青緑色の塗料で覆われています。台地上の集落では河川もなく地下水もあまり得られないため、この塗料部分に降った雨水が処理され簡易水道として供給されています。また電気は集落内の内燃力発電所から供給されています。

展望公園への分岐点付近には還住の碑があります。これは江戸時代後期に青ヶ島で大噴火が発生した際に八丈島へ避難し、復興を成し遂げたことを記念するものでその経緯についてはWikipedia文学として

還住 (青ヶ島) - Wikipedia

に記述されています。

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今回お世話になったのは民宿杉の沢さんです。ここにした理由としては居酒屋併設で色々な話が聞けそうだったこと、ネットに学生さん歓迎と明記されていたことがあります。若者が一人旅館に泊まると変な反応をされることもあるのでこう書いてあると安心です。予約は1月2日に往復のヘリを予約してからすぐに電話しました。

宿泊したのは離れで、ネット環境こそないものの綺麗でアメニティも揃っていたので満足でした。この日は僕の他に不動産鑑定士の方がお仕事のため泊まっていました。他の予約客は船の欠航のためキャンセルということで、交通事情によるキャンセルは柔軟に対応してもらえるようですが、やはり就航率の高い交通手段を利用する方が歓迎されるようです。

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食事は居酒屋の席でとることになります。どうしても多くの食材は本土から輸送されたものになりますが、明日葉など島の特産品も出していただけました。緑黄色野菜はあまり得意ではありませんが、甘い味付けで美味しくいただけました。

食後はテレビを見ていましたが青ヶ島は東京都なので放送局は東京本土と同じです。当然TOKYO MXも映り、この日は金曜日だったので22時半から恋する小惑星を見ることができました。その後は歩き疲れてすぐに寝てしまいました。